生活環境影響調査について

生活環境影響調査とは

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)(平成9年法律第85号)では、地元住民等の意向が反映され、廃棄物施設が生活環境の保全に十分配慮されたものとなるよう、廃棄物処理施設の設置(変更)届出に生活環境影響調査書が義務づけられ、平成10年6月17日から施行されました。

施設の設置者は、計画段階で、その施設が周辺地域の生活環境に及ぼす影響をあらかじめ調査し、その結果に基づき、地域ごとの生活環境に配慮したきめ細かな対策を検討した上で施設の計画に反映していこうとするものです。また、廃棄物処理施設については、市町条例等の制定にしたがい、届出書や生活環境影響調査書が縦覧され、住民、市町村長の意見聴取や専門家の意見聴取等の手続きが行われることとなります。

生活環境影響調査は、廃棄物処理施設が周辺の生活環境にどのような影響を及ぼすかということについて、周辺地域の生活環境の現況を把握したうえで施設の設置による影響を予測し、その結果を分析することにより、その地域の生活環境の状況に応じた適切な生活環境保全対策等を検討するため行われるものであり、施設の計画作成のために極めて重要な調査となります。

市町の一般廃棄物処理施設設置の手順について

生活環境衛生調査の手順について

調査項目について

調査内容について

用語説明

市町の一般廃棄物処理施設設置の手順について


生活環境衛生調査の手順について

調査項目について

  生活環境影響要因と生活環境影響調査項目との関連を表−1、その他の環境影響調査項目を表−2に示しています。

 本事業における生活環境影響調査に係る調査項目としては、廃棄物処理法に基づく標準項目として、生活環境に関する大気汚染、騒音、振動、悪臭の4項目を選定するとともに、その他の環境影響評価項目として、工事中の濁水の影響、土地の改変に伴う動植物への影響、煙突等ごみ処理施設の設置に伴う周辺景観への影響などについても検討を行います。

なお、標準項目である施設排水の排出における水質汚濁の影響については、本事業では施設排水は、全て循環使用し、場外に排出しない計画であることから、除外しています。

表−1 生活環境影響要因と生活環境影響調査項目との関連表

      生活環境影響要因

生活環境影響調査項目

煙突排ガスの排出

施設排水の排出

建設工事に伴う濁水の発生

施設の

 

施設からの悪臭の漏洩

廃棄物運搬車両の走行

大気汚染

二酸化硫黄(SO2)

二酸化窒素(NO2)

浮遊粒子状物質(SPM)

塩化水素(HCl)

ダイオキシン類

重金属類

水質汚濁

COD,SS等

×

pH,SS

騒  

騒音レベル

振  

振動レベル

悪  

特定悪臭物質

臭気指数等

備考:○は標準項目のうち影響が及ぶおそれのある項目を示しています。

   ×は標準項目のうち影響が及ぶおそれがない項目を示しています。

   ◎は標準項目ではないが、影響が及ぶおそれがあり検討する項目を示しています。

表−2 環境影響要因とその他環境影響調査項目との関連表

    生活環境影響要因

追加検討項目

建設工事に伴う

濁水の発生

土地造成に伴う

影響

ごみ処理施設

の存在

陸生植物

植生、植物相

陸生動物

鳥類、昆虫類等

水生生物

水生昆虫等

景 観

将来景観

備考:○は影響が及ぶおそれのある項目を示しています。


調査内容について

環境影響調査項目

調査地点

調査時期等

調査方法

予測方法

大気汚染

風向・風速
日射量
放射収支量

事業計画地付近で行います。

1年間

地上気象観測法(気象庁)に示された方法により行います。

窒素酸化物総量規制マニュアル(環境庁)及び道路環境影響評価の技術手法(道路環境研究所)に示された方法により定量的に予測します。

・大気汚染物質

・ダイキシン類

計画地周辺に分布する集落である三原、三ツ尾、久保及び弦谷の4地点で行います。

四季に各1週間

大気汚染に係る環境基準について(環境庁)などに示された方法により行います。

水質汚濁

河川の計画地直下、下流地点、計2地点

生活環境項目等:隔月に1回、計6回

健康項目及びダイオキシン類:夏、冬に各1回、計2回

JIS0102等の水質調査方法、環境庁告示第59号等に示された方法により行います。

濁水の予測は、濁水防止対策を考慮し、沈砂池設計で用いられている手法により、現地土壌の沈降試験結果から検討します。また、雨水排水については、環境保全対策を検討し、定性的に予測します。

騒音・振動

環境騒音:計画地周辺に分布する集落である三原、三ツ尾、久保及び弦谷の4地点

道路交通騒音・振動:廃棄物運搬車両が主に走向する道路に近接する民家付近1地点

虫やカエルの鳴き声が入らない11月下旬〜4月中旬の平日に1回

「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁告示第64号)及びJIS-Z-8735の「振動レベル測定方法」に定められた方法で行います。

施設の稼動に伴う影響は、主要な騒音・振動発生源について、距離減衰式により、廃棄物運搬車両の走行に伴う道路交通騒音・振動の影響は道路環境影響評価の技術手法(道路環境研究所)に示された方法により定量的に予測します

悪 臭

環境調査:計画地周辺に分布する集落である三原、三ツ尾、久保及び弦谷の4地点

類似施設調査:類似のごみ処理施設において、風下、風上の敷地境界及び発生源付近の各1地点、廃棄物運搬車両の近傍で1地点、計4地点

悪臭問題が発生しやすい夏季に午前、午後各1回、計2回

環境庁告示に示された方法により行います。

類似施設の調査結果及び環境保全対策を検討し、定性的に予測します。

陸生植物及び陸生動物

計画地及びその近傍

分類群毎の適切な時期に2〜3回/年行います。

任意観察を中心に分類群毎の適切な方法により行います。

貴重種の確認地点と土地改変区域とを重ね合わせるとともに環境保全対策を検討し、定性的に予測する。

水生生物

計画地の下流河川(計画地直下及び下流地点、計2地点)

春、夏に各1回、計2回

任意観察を中心に分類群毎の適切な方法により行います。

景 観

眺望地点など計画地周辺に分布する人が集まる視点場

四季を代表する4月、6月、11月、2月に各1回、計4回

地形情報等をコンピュータにより解析するとともに、現況写真の撮影により行います。

将来フォトモンタージュを作成し、現況写真との比較するなどにより、定性的に予測します。


【大気汚染】計画地周辺の集落における大気汚染物質の現況濃度や計画地における気象の現況を把握するため、自動観測機器を装備した観測車やハイボリュウムエアサンプラーにより大気汚染物質やダイオキシン類の大気中濃度の調査を行うとともに、風向・風速等の気象の観測を行います。調査結果は、計画地付近の風向き等について現況を把握し、大気汚染物質やダイオキシン類の拡散計算を行う際に必要な気象条件や本事業の実施に伴う影響の程度を予測する際のバックグラウンド濃度の資料といたします。

【水質汚濁】調査は、事業計画地の下流河川においてJIS 0102等の水質調査方法や環境庁告示第59号等にしたがい行います。調査結果は、建設工事中に発生する濁水の影響の程度などを予測する際のバックグラウンド濃度の資料といたします。

【騒音・振動】「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁告示第64号)に基づき、0.2秒間隔でLAeqの測定を行い、現況を把握するとともに、沿道では、通行する車両の交通量と走向速度を観測いたします。計画地周辺の集落や廃棄物運搬車両が走行する予定ルート(アクセスルート)における騒音レベルなどの現況を把握し、本事業の実施に伴う影響の程度を予測する際のバックグラウンドレベルや交通条件の設定資料といたします。

【悪臭】計画地周辺の集落や類似施設において、環境庁告示に基づき、特定悪臭物質及び官能試験の調査を行い、悪臭の現況、発生状況や濃度を把握し、定性的な予測を行う際の基礎資料といたします。


用語説明

〔環境影響評価〕
 開発事業の実施により公害の発生、自然環境の破壊など環境保全に重大な支障をもたらすことのないように、当該開発事業が環境に及ぼす影響を事前に調査、予測、評価することです。一般に、環境アセスメントと呼ばれています。

〔環境基準〕
 環境基本法に基づき定められた「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい」とされる基準です。

〔pH(水素イオン濃度)〕
 生活環境項目の一つであり、中性の水ではpH7、酸性になると7よりも小さく、アルカリ性溶液では7よりも大きくなります。

〔生活環境項目〕
 水質汚濁に係る環境基準で、生活環境を保全するうえで定められた項目をいい、現在、pH(水素イオン濃度)、BOD(生物化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質量)、COD(化学的酸素要求量)、大腸菌群数などについて定められています。

〔健康項目〕
 水質汚濁に係る環境基準で、人の健康を保護するうえで定められた項目です。これには、全シアン、ヒ素をはじめ、蓄積性のある重金属類のカドミウム、総水銀、鉛、六価クロム、また、科学技術の進歩で人工的に作り出した物質、例えばPCB、有機リンなどがあります。

〔COD(化学的酸素要求量)〕
 生活環境項目の一つであり、水中の有機物その他被酸化性物質(硫化物、第一鉄、アンモニアなど)を酸化剤で化学的に酸化するときに消費される酸素の量をいい、単位はmg/高ナ示されます。
 BODとともに水の汚染度を示す指標です。

〔浮遊物質(SS)〕
 水に溶けず富裕している懸濁性の物質をいい、単位はmg/高ナ表示されます。水の濁りの原因となるもので魚類のエラをふさいでへい死させたり、日光の透過を妨げることによって水生植物の光合成作用を妨害するなどの有害作用があります。また、有機性浮遊物質の場合は河床にたい積して腐敗するため、底質を悪化させます。

〔LAeq(等価騒音レベル)〕
 騒音の評価指標として、国際的に多くの国で採用されているもので、我が国においては平成11年4月から施行された環境基準の評価値に採用されています。変動する騒音レベルのエネルギー量の平均値であり、音響エネルギーの総暴露量を時間平均した物理的な指標であるため、発生頻度が少なく、高レベルな音(例えば、たまに通過する大型車など)に対しても比較的敏感で、住民の感覚によく合っているといわれています。