世界に誇れる施設としてのコンセプト

テーマ1:未来を見つめた先進的施設
 
@最新の処理技術(処理方式)の検討
 循環型社会拠点施設は、その名のとおり、単なる「ごみ処理施設」ではなく、「資源及び地域のリサイクル活動拠点」として位置づける。
 そのために循環型社会拠点施設の処理方式については、従来方式に加え熱分解式ガス化溶融炉やガス化改質炉、また現在は実証・開発段階にあるスーパーストーカ炉といった処理方式について調査・検討を行い、西播磨11町にふさわしい処理方式を選定する。つまり、処理方式の優劣ではなく、西播磨11町の地域特性に最も適した処理方式について検討する。
 処理方式の検討にあたっては、環境保全対策、高効率発電の可能性、施設の安定稼働、安定性・信頼性、市場性といった項目等を検討する。
A先進的かつ周辺に調和した外観
 循環型社会拠点施設は科学公園都市に建設を予定していることから、そのコンセプトである「人と自然と科学が調和する」施設とすることが求められている。
そこで、循環型社会拠点施設は、単なる「ごみ処理工場」ではなく、外観的に評価されるような施設となることを目指す。
 
B先進的な施設運営手法の導入検討
 廃棄物処理施設の建設に際しては、国庫補助金の交付や起債の充当、交付税措置などの財源的措置を講じることができるが、施設の運営・維持管理については、自治体の一般財源から支払われている。
 そのため、全国各地の自治体では、財政の健全化を目指し、施設の運営・維持管理についてPFI、PPP(公設民営)の導入を検討している。
 しかしながら、民間企業の経営管理手法を幅広く導入すること(NPM)やPFI等の手法を導入した実績はあまりなく、また導入後の経過に関する情報もあまり集まっていないのが現状である。
 そこで、先進的な施設運営を目指し、PFI事業等のFSを実施し、地域密着型資源循環事業者(担い手企業)の検討を行う。
 
C研究機能の付加
 科学公園都市の大学、研究機関と連携して、循環型社会形成に向けたハード、ソフト両面にわたる、廃棄物処理・再生技術、バイオマス、排ガス処理技術等の研究の可能性を検討し、全国へ向けての情報発信拠点となることを目指す。
テーマ2:徹底した環境保全
 
@公害・環境汚染を起こさない施設
 私たちは、先祖から引き継いできた良好な環境を良好なまま将来の世代に確実に引き継いでいく責任がある。循環型社会拠点施設の整備にあたっては、生活環境影響調査の実施、建設工事中の公害防止対策、施設の公害防止規制基準の設定・遵守、適正な施設の維持管理、事後調査等を行うこと、公害・環境汚染を起こさない施設を検討する。
 
A安全・信頼のシステム
 最新の処理技術は、従来の方式の問題点を改良し性能は向上しているとはいえ、実績がないことで想定外のトラブルが発生することが考えられる。
 こうしたトラブルの発生を事前に防ぎ、適正な施設の維持管理を行うために、処理技術の安全性・信頼性について検討する。
 
B自然環境との調和
 循環型社会拠点施設の整備にあたっては、周辺の自然環境との調和を図り、景観的にも優れた環境にやさしい施設であることを目指す。
 
C経済性、環境保全の収集運搬システム
 循環型社会を構築するためには、さらなるごみの分別収集を検討していく必要がある。分別する品目が増えると、収集運搬コストも増大する。
 そこで、ごみ分別の11町統一、経済性、環境保全の収集運搬システムの検討を行うとともに、収集運搬車両は、排ガス・騒音等の軽減やデザイン的にも優れたクリーンな収集運搬を目指すものとする。
 
テーマ3:資源のリサイクルとエネルギーの有効利用
 
@地球にやさしい施設であること
 周辺環境への影響を軽減するだけでなく、地球規模での温暖化防止に寄与するために、高効率の発電を行うことでエネルギーを創り出し、省エネルギー化を実現することを検討する。
また、高効率発電などの技術や、その熱エネルギー(蒸気、温水等)の利用方法についての検討と併せて、処理方式によっては、ガスエンジン、燃料電池についても検討していく。
さらに、クリーンな自然エネルギー(太陽光発電、風力発電、バイオマス等)の導入及び利用方法についても検討する。
 電力、上下水道、ガス、助燃等の供給システムについては、播磨科学公園都市施設の供給条件について調整する。
 
A自然環境への負荷を減らした敷地造成、道路計画
 循環型社会拠点施設を整備することは、少なからず現状の自然環境へ影響を与えることになる。循環型社会拠点施設を、科学公園都市のコンセプトを用いた「人と自然と科学が調和する」施設とするために、敷地造成工事、道路工事といった開発を行う際には、切り盛り等の土量バランスを保ち、植生や自然保護に配慮し、できる限り自然環境への負荷を減らす手法を検討する。
 また、開発により、自然の一部を失うことになるが、ミティゲーション、ビオトープといった手法の導入を検討し、自然の復元、再生に努める。
 
B資源のリサイクル
 循環型社会拠点施設で資源化処理した資源化物は、資源価値の高いものにしたい。しかし、採算性を度外視した資源化処理は、ナンセンスである。
そこで、資源のリサイクルについては資源化物の資源価値の向上と、経済的な採算性という両面から検討を行っていく。
 
テーマ4:地域振興に役立つ事業
 
@エネルギー利用による地域振興
 循環型社会拠点施設で創り出すエネルギーは、有効に活用されて初めてその効果を発揮する。このエネルギーは、施設内で利用する他、地域振興施設等へ供給することで、地域振興へ寄与することを計画している。
 そこで、循環型社会拠点施設で作るエネルギー量とその利用先について、西播磨11町にふさわしいシステムを検討する。
 
A地域密着型資源循環事業者(担い手企業)と地域雇用の創出
 先進的な施設運営を目指し、PFI事業等のFSを実施し、地域密着型資源循環事業者(担い手企業)の検討を行う他、地域の雇用創出についても検討を行う。
 
B搬入ルートの整備と周辺整備計画
 収集運搬車両は、先進的施設にふさわしいクリーンな収集運搬を目指すとともに、施設への搬入ルート整備計画と併せて周辺整備計画について検討する。
 
テーマ5:住民の参画と協働
 
@住民参加のリサイクル活動拠点
 循環型社会拠点施設では、西播磨11町で現在行われている住民等によるリサイクル活動を支援するために、施設がリサイクル活動拠点となるようなネットワークづくりを検討する。
 また、循環型社会拠点施設のプラザ機能を住民のリサイクル活動に利用できるようにすることも併せて検討する。
 
Aリサイクル、環境学習の情報発信基地
 循環型社会拠点施設は、西播磨11町のリサイクルシンボルとして位置づけられることを計画していることから、先進的な住民啓発装置の導入、リサイクルや環境学習に関する情報の発信基地となることを目指す。
 
B情報公開による透明性の確保
 循環型社会拠点施設は、住民参画と協働による運営方法について検討し、先進的な施設運営を目指す。
 施設の運営にあたっては、情報公開による透明性を確保して、住民との信頼関係を築き上げ、住民と協働して適正な施設の運営を目指す。